第1章 Two
独り残された俺は、衣装さんに呼ばれた。
「大野さん、これに着替えてください」
・・・この衣装って?
言われるがままに着替え、髪をセットしなおされた。
分からん、どういうシチュエーション?
そして、翔くんはどこに?
スタジオに行っても翔くんの姿はない。
衣装のまま松潤が撮影を見ていたが、俺に気が付き可笑しそうにやってきた。
「なにリーダー、ディナーショーでもやるの?」
自分でも分からないから何も言えない…
「冗談だよ。良く似合ってるよ、そのタキシード」
そう、俺が着せられたのはシルバーのタキシード。
翔くんとのペアでタキシードって…どういうこと?
不意にスタジオ入り口がざわめいた。
『綺麗~』だの、『かわいい~』だの女性スタッフの声と、『おぉ~!』という男性スタッフの感嘆の声。
なんだ?
そちらを向くと、花嫁さん?このスタジオに?なぜ?
女性スタッフに連れられて足元を気にしながらこちらに歩いてきた花嫁が俺の前で足を止め顔を上げた。
「・・・翔くん⁉」
女性用メイクを施された翔くんは花嫁さんそのもの。
「スゲー!翔くん!」
「何だよ…」
「いや~、着こなすねぇ」
「お前、絶対馬鹿にしてんだろ!」
翔くんが松潤を睨む。
「いやいやいや、ホントにいいよ。
この肩のラインなんて、最高~!」
翔くんが着ているのは、肩の出た純白のウェディングドレス。
その素肌の肩に松潤が触れる。