第3章 One Love
食事に行くときはいつも翔くんがお店を決めてくれる。
色々なお店を知っている翔くんは俺の好きそうなところを選んで連れていってくれるんだ。もちろん外したことはない。
今日もお店を予約してくれたんだけど、ちょっと遠いから車を出してくれた。
海が近くて海鮮が美味しいお店だった。
ただ車で来ちゃったからお酒が飲めなかったのがちょっと残念。
翔くんは飲んでいいよって言ってくれたけど一人で飲むのもね。だから今日は止めておいた。
お店を出て車に乗ると翔くんが
「ここまで来たからちょっと寄り道していい?」
って聞いてきた。
ちょっとでも翔くんと一緒にいたくて
「もちろん!」
って答えた。
目的地に着き車を降りた。
「凄っ‼」
目の前には工業団地の夜景。
光の森みたい。
「前にロケで来てから気に入ってたまに来るんだよ」
「映像では見たけど生は初めてっ!
すっごい綺麗!」
「よかった、智くんこういうの好きかなと思って」
ほんとに綺麗!ずーっと見ていられる。
なにも話さずふたりで肩を寄せあって闇の中に佇む光の森を見ていた。
「…くしゅん!」
あまりにも夢中だったせいか体が冷えてることに気がつかなかった。
そうだよな、海沿いだし。
そう思ってたら、翔くんが後ろからふわっと抱きしめてくれた。
「寒いよね?
そろそろ帰ろうか?」