第3章 One Love
<大野サイド>
翔くんと2人で診察室に入った。
俺は翔くんに守られたお陰で傷1つなかった。
翔くんは倒れてきたパイプで打撲傷があったが骨には異常はなかった。
翔くんが治療を受けている間ずっと翔くんを見てた。
…あの時、本当に怖かったんだ…
翔くんが意識を失って顔に血の気がなくて…
翔くんになにかあったらと思ったら体が震えだした…
怖くて怖くて息もできなくなった…
もし、翔くんがいなくなったら…
…俺は生きていけるんだろうか…
翔くんの治療が終わり着いてきたマネージャーが先生から診察結果を告げられた。
「おふたりとも大きな怪我はありません
頭のMRIも異常は見られなかったので安静にしていただければ今日はこのまま帰られて大丈夫ですよ
湿布だけお出ししておきますね」
先生はそう言って退室した。
「大野さん、櫻井さん、私は先に他の3人のところへ行って報告してきますね
そのまま精算してきますので、櫻井さんの支度が終わったらここで一緒に待っていてください」
「わかった」
マネージャーが部屋から出ていき、身支度を整えた翔くんが俺の横に座った。
「…智くん?」
ずっと黙っている俺に心配そうに声を掛ける。
「どこか具合悪い?」
顔を覗き込まれ目線を反らした。
「……胸が痛い…」
「大丈夫?お医者さん呼んでこようか?」
俺は首を横に振った…
「…翔くんにしか治せないよ…」
翔くんの顔を見るとハッとした顔をしたあとに困ったように眉毛を寄せた。