第3章 One Love
「翔さん、本当にあの2人放っておくんですか?」
「あの2人?」
「わかってるでしょ?
大野さんと相葉さんです」
翔さんはまた一口ビールを飲むと
「それが俺が最初から望んでいたことだから」
「どうして?」
「前にも言っただろ?
それがベストだからだよ」
そう言う翔さんの顔は穏やかで嘘をついてる様子ではなかった。
「ニノは今、幸せなんだろ?
だったらあの2人も幸せになれるよ…」
「でもそれじゃ翔さんが…」
「俺の幸せはメンバーがみんな幸せに過ごすことだから…」
そう、翔さんはいつでもみんなが幸せになることを願っている。
3年前もそうだった。
俺は翔さんのことがずっと好きで、気持ちが押さえきれなくなって気持ちを伝えた。
『…翔さんが…好き、です』
翔さんは驚きもせず
『ありがとう』
って言ってくれた。
『でも、ごめん
ニノの気持ちには応えられないんだ』
翔さんに好きな人がいるのはわかっていた。
それが大野さんだってことも。
ごく稀に見せる翔さんの切ない眼差しが大野さんに向けられてるのを何度か見た。
だから振られる覚悟はしていたんだ。
ただ気持ちを伝えたかっただけで…
『…大野さんと付き合うんですか?』
今度は少し驚いたようだった。