第16章 リフレイン
ありえないと思っていたことが現実になった…その幸せを噛み締めるようにふたりとも無言で抱き合っていたんだけど、あまりにも長時間無言でいたらなんだか恥ずかしくなってきて、智くんの腕の中で身じろぎをした。
「うぉっ…」
突然声を上げた智くん。
「どうしたの?」
少し体を離した智くんが苦笑いをする。
「どうしたのって、翔ちゃんが急に絞めるから」
「絞める?」
今動いたから?でも、背中に回した腕に力は込めてないし…
「うん…ナカがね、ギュッてなったの」
「え?…あっ…」
そうだった…智くんがまだナカにいたんだ。両想いだったことに感激しすぎてすっかり忘れてたよ。
「あの…もう、動いても大丈夫、かな?すぐに動かない方が良いって言われたんだけど」
智くんが遠慮気味に聞いてきた。
「あ、うん。大丈夫、だと思う…」
またしても誰情報?すぐに動かない方がいいなんて…こういうことに詳しい人が知り合いにいるのかな?
「ねぇ、さと…あっん…」
聞こうとしたら、智くんが動き出し、思わず声が出てしまった。
「…可愛い」
「え…あっ、やぁっ…さと、しく、ん…待、て…」
『可愛い』と呟いた智くんは、再びスイッチが入ってしまったようで、俺の静止も聞かずに腰を動かし始めた。
「あっ…あっ、さとっ!あっ、んっ…」
さっき指で擦られた時よりも気持ちイイ…