第16章 リフレイン
「ふっ…んっ…んぅ…」
智くんの舌の動きに合わせ舌を絡める。智くんとこんな濃厚なキス出来るなんて…でも、これも智くんが酔ってるせいなんだよね…
明日の朝、智くんはこのことを覚えているのだろうか…明日、智くんに聞かれたら『夢でも見たんじゃない?』で押しきれる?
忘れていて欲しい…智くんに、男を…しかも長年共に活動してきたメンバーを抱いた、なんて記憶を残したくない…
そう思うなら智くんを止めればいいのに、それでも智くんとの行為を止めることは出来なくて…俺は自分が欲に勝てない弱い人間なんだと初めて知った…
「…翔ちゃん?」
智くんの唇が離れ目を開くと、心配そうな智くんの顔が見えた。
「どうした?」
「え、なにが?」
智くんの手が優しく俺の頬に触れる。すっと撫でられた手は濡れていた。
「あれ?なんで?」
智くんとキスが出来た悦びの涙なのか、懺悔の涙なのか…自分が泣いてる理由がわからない。
「やっぱり止めようか…」
「えっ…」
智くんが眉を下げ微笑む。
「翔ちゃんに無理させたくない…俺の欲の為に翔ちゃんを泣かせるようなマネは出来ないよ」
智くんは体を起こし苦笑した。俺も起き上がり智くんの言葉を否定する。
「違うよっ!智くんが悪いんじゃない!俺が…俺が自分の欲望に勝てなくて、智くんに嫌な記憶を残すんじゃないかって…」
「嫌な記憶?どこが?」
「だって、酔った勢いだとしても男を抱くなんて…後から正気に戻った時、智くんがショック受けるかなって…」
「…はっ?なに言ってんの?翔ちゃん」
智くんが目を見開いて驚いた顔をした。