第16章 リフレイン
「俺、酔ってないけど…」
「……へ?」
え…智くんって男の人抱ける人だったの?そんな話聞いたことないけど…って、まあ、メンバーに話すような話でもないか。俺も自分からは智くんのこと好きだって誰にも話してないし。
「翔ちゃん。もしかして、俺が酔って翔ちゃんを襲ったと思ってるの?」
「だって…飲み屋で『もうダメかも』って言ってたから、テッキリ飲み過ぎて具合悪くなったのかと…」
「俺、今日はそんな飲んでないよ?翔ちゃん守るために行ったんだもん、飲むわけないじゃん。
そうじゃなくて、可愛いい翔ちゃんをいっぱい見たから、我慢の限界で『もうダメかも』だったんだよ」
なんだ…良かった…
智くんが俺の事を可愛いって言うのはよくわからないけど、酔った勢いではなかったんだ。
だったら理由なんてどうだっていい。性欲を解消する為だろうと、興味本意だろうと…智くんに抱いてもらえるなら。
智くんが俯いた俺の顔を覗きこむ。
「翔ちゃん?」
俺は顔を上げ、智くんの唇に自分からキスをした。唇を離し、智くんの顔を見つめた。
「…続きしよ?」
「え?いいの?ほんと無理しなくていいんだよ?」
「無理なんてしてないよ…さっき言ったじゃん『気持ちいい』って。だから、智くんさえ嫌じゃなければ続きしよ?」
「嫌なわけないじゃん。俺から誘ったんだから」
「だったらいい…智くんの好きにして?」
笑顔でそう告げると、智くんがふにゃんと表情を崩した。
「もぉ~、そんなこと言われたらほんとに好きにしちゃうからね?」
「うん、いい…」
智くんの首に腕を掛け、引き寄せながらベッドに横たわった。