第16章 リフレイン
「他には?何かないんですか、兄貴の意外なネタ」
「ん~、意外って言ってもなぁ。どれが意外なのかよくわかんねぇよ。あ、でもダンスのフリの覚えが悪いのは意外か?」
「え?そうなんすか?頭良いから覚えもいいのかと」
「んふふっ、それがそうでもなくて、誤魔化して踊ってる姿が超可愛いのっ」
「智くんっ、もうヤメテ…」
『超』までつくとさすがに恥ずかし過ぎるんですけど…顔が熱い。
「じゃあ兄貴は?何か親分のネタないんっすか?」
こっちに話を振って貰えてホッとした。
「智くんのネタって言っても、智くんはこのまんまの人だから。裏表なくて、いつも自然体な人。ボーッとしてるように見えるのに、才能は満ち溢れている天才」
「あ~、わかる~。でも、翔くんですら大野くんは天才だと思うんですか?」
「思うよ。俺なんて全然足元にも及ばないんだから。特にダンスなんてさ、なんでこんなに綺麗にカッコよく踊れるの?って思っちゃうもん」
智くんのダンスはいつ見ても心惹かれる。軽やかでしなやかな動き。あのダンスを常に生で近くで見られるだけで、俺は『嵐でよかった』って幸せを感じてるんだ。
「んふっ、翔ちゃんにそんなに褒められたら照れるんだけど」
「え?そう?俺、結構智くんのダンスについては褒めてると思うけど?」
「何回褒められても照れるよ」
フニャッとした照れ笑いが可愛い。こっちまで笑顔になっちゃうよ。
「そんな風に微笑み合うなんて、やっぱり仲いいっすねぇ…俺たちにはないわぁ。
大体俺、メンバーの事プライベートで褒めるなんてしたことないかも。メンバーだけど、ライバルでもあるわけだし」
「うんうん。それに、例えすげぇと思ってても、プライベートでは恥ずかしくて伝えらんねぇよなぁ」
そうなんだ…俺、智くんのことライバルなんて思ったことないや。褒めるのだって、本人の前でも全然平気だし。やっぱり好きな人だからなのかな。