第16章 リフレイン
店員を呼んで、各々食べたいものを注文した。
「嵐さんって、いつもそんな感じでメシ頼むんですか?」
増田が興味津々な様子で聞いてきた。『そんな感じ』ってどんな感じ?
「何かおかしい?」
「おかしい、って言うか…おふたりとも自分が食べたいものよりも、お互いの好きなもの頼もうとするから」
あ、そう言われてみればそうか…
智くんが俺の好きそうな物見つけてくれたから、俺も智くんの好きな物を言っただけなんだけど。
「ほんと仲いいんだなぁ、って思っちゃいましたよ。俺たちは『これ食べたい』『いいんじゃね』くらいのことしか言わないから。下手すると反対されることもありますしね」
「ですよね。俺たちもそうです」
風磨も同意を示した。
「上田んとこは?」
増田が上田に聞くと
「まぁ…俺たちも似た感じです」
「だよなぁ…嵐さんって普段から仲良しなんですね」
「ほんとっす」
「いや、そんな仲良しなんて…」
増田と風磨があまりにも感心するから、ちょっと恥ずかしくなった。それなのに…
「だろ?俺たち仲良しなの」
智くんが俺の肩を抱き寄せた。頬が触れそうなくらいすぐ横にある智くんの顔。仕事中は肩を組むなんてどうってことないんだけど、プライベートでされるとドキドキする。
「あれ?兄貴、顔紅いっすよ?」
「ばっ…そんな訳ないだろっ」
「慌てちゃってぇ…なんか怪しいっすね、おふたり~」
風磨がニヤニヤしながらからかってくる。
「もうやめろ!アニキたちに失礼だろ?」
上田が止めに入った。
「はい、すみません…」
風磨がまた小さくなった。