第16章 リフレイン
〈ニノサイド〉
翔さんと大野さんが楽屋を出ていった。
「はぁ~、やっぱり上田の奴、動き出したかぁ」
潤くんが大きく溜め息を吐いた。
「ですね、でも大野さんが気持ちに気付いた後でよかった」
「ほんと、マジで助かったよ…ニノ、サンキューな」
この前の大野さんの話は潤くんにはしてある。と言うか、潤くんとの合同作戦だったしね。俺は大野さんに、潤くんは翔さんに話をしようって。
「どういたしまして、で?翔さんはどうでした?」
「ん?どうって、やっぱりわかってなかったよ…」
「…潤くんのことも?」
「うん…ぜーん然気が付いてなかった」
「そうですか…」
潤くんが翔さんのことを好きだったのは知っていた。
でもあの当時は、それを口に出すことは怖くて出来なかった。メンバーがメンバーに対し恋心を抱いているなんて…なんて言ってあげたらいいのか、まだ子供だった俺にはわからなかった。
しかも、相手の翔さんは別の人を見てるんだ…今だったら話くらいは聞いてあげられたんだろうけど…
「そんな顔すんなよ、ニノ…今更だけどさ、俺、翔くんに気持ち知って貰えてよかったよ。しかもさ、『ありがとう』なんて言ってくれるんだぜ」
「よかったねぇ~、松潤」
相葉さんが背後から潤くんに抱きついた。
ほんとよかった…過去の事とはいえ翔さんが嫌な顔したら潤くん傷ついたよね。
「おう。後は翔くんがリーダーと幸せになってくれれば、なんの未練も残らないんだけどな…」
「大丈夫でしょ?あのふたりなら」
「だな…」
潤くんが視線を下げ微笑んだ。
潤くん、『もう諦めた』なんて言ってるけど、本当はまだ少し翔さんに想いが残ってるんでしょ?
その想いをちゃんと終わらせてあげる為にも、あのふたりには上手くいって貰わないと…