第16章 リフレイン

「想い、伝える気ないの？」

「ない…」

そんなこと出来るわけない…あの人が困ることなんか目に見えてる。

「いつまでも想い続けてたって辛いでしょ？」

「辛くなんかない…俺は近くであの人を見ていられるだけで十分」

「ほんとに？リーダーに恋人が出来ても笑って祝福出来るの？」

「…出来る」

「翔くんってほんっと強情だよね」

「強情じゃねえし…」

「そう？翔くん、今泣きそうな顔してるよ？リーダーに恋人が出来るの想像しただけで辛いんじゃないの？」

「そんなこと…ない…」

「はぁ～、まぁそこが翔くんらしいんだけどさ、でもあまり強情だとね、見す見すチャンスを逃すことになるよ？」

「そんなチャンス、いくら待ったってねぇよ…」

あの人が俺を好きになってくれるわけないだろ。

「そっかなぁ…」

「そうだよ…ほらもう行くぞ。アイツら待たせちまう」

「あぁ、ごめん。てかさ、後輩待たせるくらい良くね？」

「お前は良くても俺は良くねぇの」

「やっぱ翔くんには必要だと思うな、心身ともに休める場所」

「休める場所？」

「そう。もう若くないんだから自己治癒力だけに頼るのは大変でしょ？だからそういったモノに頼った方がいいよ？」

「そんなもん無くても平気だよ。今までだってやってこられたんだから」

「今まではね…でも言ったでしょ？もう若くないって」

「失礼だな。俺はまだジジィじゃねぇし…あ、俺今日タクシーだからこっちな」

「あぁ、お疲れさま」

「おぅ、お疲れ」

片手を上げ挨拶をし、松潤と別れた。