第16章 リフレイン
松潤は振り返るとまた苦笑いしながら俺の前に歩いてきた。
「なに?気が付かれてないとでも思ってたの?」
「う、ん…」
だってもう20年近くにもなるのに、そんなこと一言も言われたことなかったし、それらしい話が出たこともなかった。
「甘く見ないでよ。さっき幼い恋心とは言ったけどさ、本気で翔くんのこと好きだったし、ずっと見てたんだよ?翔くんの目がいつもリーダーを追ってるのは嫌でも気付くって…」
「だってお前、そんなこと言ってきたことないじゃん」
「あの頃はとてもじゃないけど言えないよ。俺が下手に動いて嵐が壊れたら怖かったもん」
「じゃあ何で今になって…」
「だから、心配になったからだって…翔くんが後輩たちに気を許しすぎるから。俺の事を話してわかって貰おうと思った。
リーダーの事はあくまでもついでだよ。俺が本気で翔くんの事見てたって知って貰うためにね」
「ごめん…」
「何で謝んの?」
「だって…辛い想いさせた…」
好きな人が他の人を見ている姿を近くで見てなくちゃいけなかったんだから。
「辛い想いしてるのは翔くんでしょ?誰にも相談出来ずにもう20年もリーダーのこと想い続けているんだから」
松潤が優しい瞳で俺を見つめる。ほんと、いい大人の男になったよ、お前…智くんがいなかったらお前に惚れてたかもな。でも目の前にあの人がいる限り、俺が他の人に恋心を抱くことなんて無理なんだ…