第16章 リフレイン
「そういうもん?」
「そういうもん。翔くんだって好きな人から優しくされたら期待しない?」
する。今日の件もそうだ…でも俺の場合は無理な相手だってわかってるから、心に鍵を掛け直せるんだ。
「俺、どうすればいいんだろ…アイツらと飲みに行かない方がいいのかな…」
「全員が全員そういう気持ちでいる訳じゃないからさ、『アニキ会』は続けてやっていいと思うよ。後輩たちも嬉いだろうし。ただ翔くんが気を緩め過ぎた行動しないでね?」
「わかった」
「くれぐれも二人きりとかにならないように。告白するチャンスは作らせない方がいいから。俺が見てる感じだと、上田辺りは要注意だな」
「上田?そうか?」
確かに俺への尊敬具合は凄いけど。
「そうなの!だから気を付けてよ?」
「おう…」
「じゃあ、行こうか」
松潤が歩き出したから俺もその横に並んだ。
「俺が翔くん諦めた時みたいに、アイツらも自分じゃ無理だってわかってくれるといいんだけど…」
「なにが無理?大体お前、何ですんなり諦めたの?あの頃のお前だったら強引に迫ってきそうなのに」
「だって翔くんの目が違う人追ってんだもん…最初はさ、その人に対抗心燃やしてたよ?でも、俺じゃ勝てないや、ってすぐにわかっちゃったんだよね」
「えっ…」
もしかしてバレてるのか?俺の好きな人…まさかな…
「あの人に勝てる人、そうそういないでしょ。俺、負けず嫌いだからさ、負けるのスッゲェ嫌なんだ。だから無理な戦い挑んで負ける前に翔くんのこと諦めたの。翔くんの気持ちも堅そうだったし」
「あ、のさ…お前、誰のこと言ってんだ?」
「勿論リーダーの事だよ」
俺に向かってニコッと笑った松潤…そして俺は本日2度目、足が止まった。