第16章 リフレイン
あまりの衝撃発言に足が止まる。先を歩いていった松潤がそれに気が付き俺の前に戻ってきた。
「吃驚した?」
松潤が俺の顔を覗き込むように見る。俺はブンブンと首を縦に振った。
「ごめんね、驚かせて。でも俺が翔くんを好きだったのは本当だよ。一瞬だったけどね」
「…い、つ?」
「嵐結成してすぐぐらい?俺、翔くんのファンだって言ってたじゃん」
「あの時…」
「そう、あの時…幼い恋心だよね」
「俺、純粋に慕ってくれてるんだとばかり…」
「もちろん最初はそうだった。でもさ、構って貰ってるうちに違う気持ちが生まれて来たんだ」
「ごめん、気がつかなくて…」
「ううん。気が付かないでくれて良かったよ。すぐに俺じゃ無理だって気がついたから、下手に気が付かれたらそのあとの嵐がやりづらくなってた」
確かにそうかも…あんな若いときに松潤から気持ち伝えられても、俺もどう対処していいかわからなかった。
「ありがとな…」
「なにが?」
「俺を好きになってくれたことも、今まで黙っていてくれたことも…」
「俺こそありがと。そんな風に言って貰えるとは思ってなかったよ。でもさ、その翔くんのその優しさが今は危険なんだよ?」
「どうして?」
「俺は大分過去の話だし、とっくに気持ちは整理されてるからいいけどさ、アイツらは『今』だから。
もし、アイツらの誰かが告白してきて、翔くんが今みたいな優しさ見せたら、そいつは気持ちの整理をつけられない。もしかすると翔くんなら受け止めてくれるんじゃないかって期待しちゃう」