第16章 リフレイン
〈翔サイド〉
俺には昔から好きな人がいる。
でも、それは絶対にばれちゃいけない相手。だからその事を自覚したとき、俺は自分の心に鍵を掛けた。
それなのに最近のあの人の言動が俺の心を乱すんだ。
今日のVTRもそう。『翔ちゃんしらす好きなんだよなぁ。食べさせてあげたい…』不意に俺の名前を出され胸がキュンってなった。『うん、好き』何気無く答えたけど、あなたが俺のことを話すのが嬉かった。
『しらすなんかより、あなたの方がもっと好き』って思っても、そんなこと口に出せるはずもない。
あの人の言動に深い意味はないのはわかってる…だから俺は気持ちが溢れ出さないように、更に強固に鍵を掛けるんだ。
収録が終わり、今日は『アニキ会』と称する飲み会に参加。松潤と一緒に楽屋を出て建物の出口へと向かう。
「ほんと最近後輩と飲むこと増えてるよね?大丈夫?」
「大丈夫って何が?」
「疲れてるのに後輩の相手までしてってこと」
「ははっ、そんなの大丈夫に決まってるじゃん。お前だってよく飲みに行ってるだろ?」
「俺の場合は、飲み仲間で飲むときに何人か呼ぶくらいだから気も遣わずに飲めるけど、翔くんの場合は違うじゃん」
「そんな変わらないよ。最近アイツら俺に対して遠慮ないし」
「いや、それはそれで問題あるでしょ」
「そうか?俺としては嬉しいよ?」
「そりゃ俺だってちょっと生意気くらいな奴は好きだけど、『アニキ会』の場合は翔くんのこと好き過ぎる奴が多いだろ?」
「そんな言うほどアイツら俺のこと慕ってないぞ?結構みんな好き勝手やってるし」