第15章 Waiting for you
翌収録日、相変わらず智くんは楽屋の一番乗りを続けてる。
「おはよ、智くん」
「おはよ~翔くん」
今日の楽屋は畳の部屋。俺が座ると智くんは俺の膝を枕にして寝転がった。
「なに?昼寝するの?」
「ん~、ちょっと眠い」
「だったらもう少しゆっくり来ればいいのに」
「それはダメ~、家には翔くんがいないもん。
早く来て翔くんに触れたいのぉ」
智くんは俺の腰に腕を回ししがみついた。
「もぉ、仕方ないなぁ…」
俺はテーブルに新聞を広げ、智くんの髪を撫でなから読んだ。
「気持ちぃ~」
「ふふっ、いつも智くんにして貰ってるからね。たまには恩返し」
「ありがと…」
ガチャっ
「おはようございます」
「あっ、おはよニノっ」
予定よりも早く来たニノに吃驚して慌てて手を引っ込めた。
「ん~?ニノぉ…おはよぉ…」
「おはようございます、ってあなた寝ようとしてますよね?しかも翔さんにしがみついて」
「ん、だって翔くん、気持ちいんだもん……」
そのまますうっと眠りに入っていく智くん。
「はいはい、おやすみなさい。
…翔さん、とうとう捕獲されましたね」
「えっ?あ…うん…」
「それはよかった。どうです?大野さんに捕らえられた感想は」
「捕らえられたって、そんな…」
「ふふっ、ずっと狙われてるのに全然気が付かないんですもん、翔さん。
焦れったくってアドバイスしちゃいましたよ」
「うん。智くんから聞いた…ありがと」
「お礼を言うってことは良かったってことですよね?」
「…うん、よかった…」