第15章 Waiting for you
朝、目が覚めると目の前に白い布。
あれ?俺、昨夜智くん家に来て…それからどうしたんだっけ…
「んっ、翔くん?起きた?」
「へっ?」
声のする方に視線をあげると俺の顔のすぐ上に智くんの顔…しかもこれって腕枕?
「えっ!」
慌てて身体を起こそうとしたら全身に怠い重み。
「いっ!」
力が入らずベッドというか智くんの腕の中へ逆戻り、
「大丈夫っ⁉翔くん!」
心配そうに俺を見つめる智くん。
「あ、うん…大丈夫…だけど、昨日あれから俺、どうしたっけ?」
「あれからって、どれから?」
「智くんとビール飲んでたのは覚えてるんだけど…」
「それだけ?他のこと覚えてないの?」
「う、ん…なんか、凄く気持ちよかったような…」
「そっか…気持ち良かったのは覚えてるんだ…じゃあ、よかった」
智くんはうんうんとひとりで納得してるけど…
「何がよかったの?」
「気持ちよくなって貰えてよかったってこと」
気持ちよくなって貰えた?俺、智くんに気持ちよくして貰ったの?
「これで晴れて翔くんは俺のモノってことでいいよね?」
「え、そうなの?」
「だって俺のこと好きでしょ?」
あ、そういえば俺…智くんに『好き』って言ってたような…
ううん、言っただけじゃない、キスもした?
よくよく思い出すと…
「ああーっ!」
俺!智くんとっ!
全てを思い出し恥ずかしくて枕に顔を埋めた。
「翔くん?思い出したの?」
顔を埋めたまま『うんうん』と頷く。
「そっか、ならよかった…初めての記憶が無いのも寂しいもんね?」
イヤ!あんな痴態…永遠に忘却の彼方に葬りたいよ…