第15章 Waiting for you
「あのぉ~、それはちょっとどうかと…」
「えっ!駄目なの?」
「駄目、かな…」
「なんでっ⁉」
「なんでって…いきなり過ぎて頭がついてけない…」
「もぉ、翔くんは頭が良すぎるからなぁ…
こういうのは考えるんじゃなくて感じるの」
智くんが少し口を尖らせた。
「ブルース・リーかっ!」
「あ、バレた?いいから行くよっ!」
いたずらっ子のように笑った智くんが俺の腕を掴み歩き出した。
やっぱり無駄な抵抗か…わかってはいたけどね。智くん、言い出したら聞かないもんな…
智くんに連れられマンションにお邪魔した。
リビングに案内され言われるがままソファーに座る。
「ちょっと待っててね?」
智くんはキッチンに消えると手に缶ビールとつまみらしき物を持って現れた。
「お待たせ~。はい、ビール」
「ありがと」
ビールを受け取ると智くんは俺の横に座った。
ピタリと寄り添うように座られまたドキドキが始まった。
今までだったらほっと出来る距離だったのに…
「翔くん?ビール飲まないの?ずっと握ってたら温まっちゃうよ?」
「あ、うん、飲む飲む」
慌ててビールに口をつけた。