第15章 Waiting for you
「帰ろ?」
「え?」
このタイミングで?智くんから体を離し智くんを見た。
「うん…家で飲みなおそ?」
「智くん家?」
「駄目?」
寂しそうな表情を浮かべる。俺、智くんのこの表情に弱いんだよなぁ。
この顔されると駄目って言えない。
「いいけど…」
そう言った瞬間、智くんは俺の手を掴み立ち上がった。
「じゃ、行こうか」
普段こんなに早い動きしないのに…智くんが機敏な動き見せるのなんてダンスと番組でスポーツやるときくらいじゃん。
なんだか可笑しくなった。
「ははっ…」
「なに?どうしたの?」
怪訝そうな智くんの顔。
「だって行動が早いんだもん」
「だって翔くんに逃げられたくないもん」
「逃げるって…なんで智くんから逃げなくちゃいけないの」
「じゃあ、もう俺のモノ?」
「なにが?」
「だからぁ、もう翔くんは俺のモノってことでいいの?」
「え?あの、それは…どういう…」
智くんはニコッと笑って掴んでいた俺の手をぐいっと引っ張った。
引っ張られた勢いで俺は智くんの腕の中…
智くんが俺の首の付け根付近をあま噛みした。
「こういうこと…だよ?」
「……はえ?」
ギラっと光った智くんの瞳にじっと見据えられた。
俺…智くんに食べられちゃうの?