第15章 Waiting for you
「俺に?」
「そう、翔くんに…」
俺の目を見つめながらゆっくりと近付いてくる智くん。
「智くんが癒されてる?」
智くんの手が俺の後頭部に回り、俺のおでこにおでこをコツンと合わせてきた。
「そう、俺が癒されてる…好きな人と同じ空間に居られるだけで心って安らぐんだよ?」
智くんが俺に言い聞かせるように話す。
「だから…翔くんも俺のこと好きだよね?」
え…俺が、智くんを…好き?
「好き…でしょ?」
すぐ目の前にある智くんの唇が確認の言葉を吐きながら俺の唇に触れた。
チュッと音がなってすぐに離れる唇。
何だか物足りない…
「そんなキスじゃわからないよ…」
少し拗ねた様に言うと一瞬目を見開いた智くんがふっと目を細め優しく笑い掛けた。
「ふふっ、ならわかるまで何度でもしてあげる」
智くんの手が俺の頬に優しく触れた。
微笑みながら近付いてきた智くんの唇を待ちかねたように受け止める。
智くんは言葉通り何度も何度も唇に吸い付いてきた。
智くんの洋服をぎゅっと握ると智くんはゆっくりと離れて行ってしまった。
「ん、ふぁ…」
「どう?わかった?」
うん、わかったよ…俺が智くんを好きだってことは。でも…
「智くんは俺のこと癒してない…」
「え?」
「だって、凄くドキドキしてるもん。
こんなドキドキするキス…はじめてだよ…」
そう言うと智くんは俺をぎゅっと抱きしめた。
「俺も…こんなドキドキするキスしたの…初めて」
智くんが耳元で囁く…俺はドキドキを鎮めたくて智くんにしがみついた。
でもそれは逆効果で、ドキドキは増す一方…