第14章 君への想い
「行くよ、翔くん」
智くんに腕を掴まれたまま引き摺れるように歩き出した。
「ちょっ、まって…」
「なに?」
その声が不機嫌そうに聞こえたのは俺の気のせい?
「荷物持ってない」
ハッとした顔をした智くん。
「あぁ、ごめん…」
眉毛を垂らし情けない表情をする。
智くんが掴んでいた腕を解放してくれたから俺はテーブルに置いてあった鞄を掴み智くんの元へもどった。
「お待たせ…」
「あ、うん…じゃあ行こうか」
誘ってくれたのは智くんなのになぜか気まずそうに視線を逸らす。
「うん…」
いったいなんなんだ?俺は疑問を抱いたまま智くんに付いて楽屋を後にした。
「潤くん、グッジョブです」
「ふふっ、まあねぇ…翔くんの疲れ取るには一番手っ取り早い方法だろ?」
「大丈夫かなぁ?翔ちゃん…」
「大丈夫じゃないですか?さっき潤くんが翔さんの耳元に顔を寄せたときの大野さん、菩薩の微笑みから阿修羅の形相に変わってましたよ?」
「だから心配なんじゃん、大ちゃん無茶しなきゃいいけど…」
「あ~、そっちかぁ…そこまで加減出来なかったよ、リーダーが誘いに乗ってくれなかったら始まらねぇし」
「そうですよねぇ…いいんじゃないですか?明日ふたりとも休みでしょ?一日中ベッドでゴロゴロしてればいいんですよ」
「ん!そうだね!取り敢えずあのふたりが上手くいくことが今回の目的だし」
「そうそう、その為に最近多目に大野さんと絡んでたんですから」
「ふたりともヤキモチ妬くくらいならとっとと気持ち伝えれば良かったのにねぇ」
「それが出来たら苦労しないって…だから今回の計画立てたんだろ?」
3人が計画立ててたなんて気が付きもしなかった…