第13章 pray
「はぁ…」
大きく息を吐き出すと俺の上に覆い被さってきた智くん…智くんの身体を受け止め抱きしめた。
「はぁ、はぁ…」
俺の呼吸は未だ整わず荒い息を繰り返す。
智くんは俺の横に寝転ぶと頭の下に腕を入れて来て抱きしめてくれた。
「大丈夫?」
俺は言葉が出せずコクンと頷くことしか出来なかった。
智くんが優しく髪を撫でてくれるからあまりの気持ち良さと倦怠感で目を開くことも出来ず、そのまま眠りに落ちていった。
翌朝目覚めた時、最初に目に入ったのは智くんの裸の胸…一晩中抱きしめてくれてたのか。
「翔くん?起きた?」
視線を上に送ると智くんと目が合った。
「おはよ」
フニャッといつもの笑顔をする智くん…夕べの激しい智くんとは一転して穏やかな空気を纏う。
「おはよ、智くん」
「身体大丈夫?痛くない?」
「ふふっ、大丈夫だよ、智くん心配し過ぎ」
あまりにも心配そうな顔をするから思わず笑っちゃった。
「だってさぁ…痛いからもうしたくないとか言われたら嫌だし」
「言わないよそんなこと…俺がしていいって言ったんじゃん」
「でも、途中から手加減できなかったから」
「しょうがないよ、18年分の想いでしょ?」
「じゃあまたしていい?」
「いいよ」
「今からでも?」
「は?それは駄目でしょ」
「なんで?いいって言ったじゃん」
ちょっと剥れたように言う智くん…さっきの心配顔はどこへ行った?
「あのさぁ、今日も仕事あるんだよ?」
「わかってるよ…でも午後からでしょ?まだ8時前だよ?」
「そうだけど…」
「今度はちゃんと優しくするからさ」
笑顔の智くんの手が俺の身体を撫で始めた。あ~、もう止まらないよなぁ…
「…お手柔らかに…」
「うん!」
俺ってほんとに智くんに甘いな…
結局手加減なんかしてくれなくて、思いっきり攻められて動けなくなった俺を智くんが甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。
智くんが嬉しそうに見えたのは俺の気のせいじゃないよね。
fin