第13章 pray
智くんの唇が離れていくのが名残惜しい…
ぼーっと見つめていると智くんが『クスッ』と笑った。
「それで、わかったのかな?俺のことどう思ってるのか」
「…えっ?あっ…う、ん…」
普通なんとも思わない人とあんなキス出来ないよね…しかも男同士だし…それに凄く気持ちよくて、離れたくなくて…これはもう認めるしかない…
「聞かせてくれる?翔くんの答え…」
聞かなくてもわかってるんでしょ?顔緩んでんじゃん…でもさ、ずっと苦しい想いさせて来ちゃったお詫びにちゃんと答えるね…
「俺、智くんのこと…好き、みたい…」
しっかりと智くんの目を見て伝えると智くんの顔が泣き出すんじゃないかって思うくらいフニャッと歪んだ。
次の瞬間智くんに抱き寄せられたかと思ったら痛いくらい抱きしめられた。
「…ありがと…」
少し鼻声の智くん…俺も智くんのことを抱きしめ返した。
「ごめんね…待たせて」
「ううん…翔くんが俺のこと好きって言ってくれただけで待ってた甲斐があった」
「でも18年だよ?長すぎでしょ?よく待てたよね」
「うん、俺頑張ったよね?」
「うん、頑張った」
「もう、我慢しなくていいんだよね?」
「うん、しなくていいよ」
18年もの長い間想い続けてくれてた智くん…もう我慢なんてしなくていいよ。俺も智くんのこと好きだってわかったんだから、これからはふたりで幸せになろうね。そういう想いで『我慢しなくていい』って伝えたのに…
「…え?」
気がつくとラグの押し倒されていて俺の上には智くんがいた…ニコッと笑うと俺の首筋に吸い付いてくる。
「えぇーっ⁉」
ナニっ?どういうことっ⁉