• テキストサイズ

片恋 《気象系BL》

第13章 pray


「はい、じゃあ智くん『あ~ん』」

フォークで一口分掬うと智くんの口元に運んだ。「あ~ん」と言いながら大きく口を開ける智くんは可愛らしかった。

「うん!うんめぇ!」

「良かった…って言っても飾っただけだからね、味は美味しいに決まってるんだけど」

「いいや、翔くんが作ったから旨いんだよ」

お世辞なのはわかってる…でもそんな風に言って貰えたことが嬉しい。

「なぁ、翔くんも食べてみなよ…ほんとに旨いから」

智くんはフォークを手を持つとケーキを掬い俺の口へと運んだ。

「あ~んして?」

「あ~ん」

パクっと口の中へ頬張ると確かに旨い。

「うん、うまっ!」

「だろ?」

智くんが嬉しそうに笑う。

「もしよろしければ大野さんが作られたケーキ持ち帰っていただいて大丈夫ですよ?」

「ほんとに?やったぁ、貰って帰ろ」

またまた嬉しそうに笑った智くん…本当なら好きな人に渡したいんだろうな、このケーキ。

智くんはいつ相手の人に想いを告げるんだろう。一昨日3人が話している時にそろそろいい話しが聞けそう、って言ってたな。てことはさ、多分上手くいく可能性高いんだろうな…もしかするともう既に上手くいってるのかも。その事を今日報告しようとしているのかな。

俺の心の中に今度は黒いモヤモヤが現れ始めた。最近増えてきたなぁ、得たいの知れないモヤモヤやムズムズ…いったい原因は何なんだ?
/ 592ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp