第13章 pray
次に智くんから渡された箱を開けた…出てきたのは可愛らしくデコレーションされたケーキ。ピンク色のクリームで薔薇なんかも作られてた。メッセージは俺と同じくチョコペンで書かれてたけどちゃんと読めるし。
「スゴッ!さすが智くん…ケーキ屋さんのケーキだよ」
「ふふっ、ありがと」
「でもちょっと意外、智くんのメッセージが『I love you more』なんて」
「そう?だってバレンタインに愛の告白されてんだろ?だったら『俺の方が愛してるよ』って言えるくらいの人じゃなきゃケーキなんて作らないよ」
そうか、智くんは好きな人を頭の中に思い浮かべて作ってたんだ…だからさっきあんなに真剣な表情して考えてたんだな…それを俺が受けとっちゃうなんて申し訳ないなぁ。
「はい、それではそのケーキおふたりで食べるところを何枚か撮らせていただきますね」
「え、食べるの?これ?」
俺は自分のケーキを指差した。
「なんで?いいじゃん、食べようよ…翔くんが作ったケーキ食べたい」
「まぁ、悪いのは見た目だけだからいいけどさ」
「じゃあ、大野さんが食べたそうなんで櫻井さんが作ったケーキを櫻井さんが大野さんに食べさせてあげましょうか」
え?マジかスタッフ…そんな写真見て誰が喜ぶんだよ。
「うん、それがいい!」
智くん?意外なところから賛成意見が出たな…智くんがやるならやるけどさ。
フォークと皿が用意され向かい合って座る俺と智くん…なんか智くんの目がキラキラしているような。