第13章 pray
ライブは無事何事もなくやり終えた…始まってしまえば余計なことなんて考えてる余裕はない。ただ今年のライブは松潤との絡みが多くて松潤が視界に入るとちょっと胸が苦しくなった…でもそれを悟られるようなヘマはしない…いつもの俺を見せるって智くんと約束したから。
「お疲れさま」
智くんがステージ袖で笑顔と共に声を掛けてくれる。
「智くんもお疲れさま」
俺も笑顔で答えた。
「さすがだね…いつもの翔くんだったよ」
「だから言ったでしょ?大丈夫だって」
「うん…翔くん、打ち上げ終わったら少し話せる?」
「ごめん智くん…俺、明日のZEROの資料少し纏めたいんだよね」
ほんとは明日でも間に合うんだけどね。狡いなぁ、俺…そう言えば智くんが引くことわかって言ってる。
「そっか、俺こそごめんな?忙しいのに」
「ううん、俺のこと心配してくれたんでしょ?ほんとにもう大丈夫だからね?」
「うん、それもあるんだけど…他にも話したいことがあったんだ…でもまた次の機会でいいや」
別の話?松潤とのことかな…上手くいきました、って報告をしようとした?だとしたら今はまだ聞きたくないかも…まだ冷静に聞ける自信がない。
「うん、また今度時間とるから」
「ありがと…じゃあさ、来週の木曜日ふたりで雑誌の取材入ってるからその日予定なければまた家で飲まない?」
来週の木曜日か…その頃には気持ちも落ち着いてるかな…来週は特に予定もなかったと思うし。でも智くんが来週のスケジュール把握してるなんて珍しい。
「いいよ、その日智くんの家にお邪魔させて?」
「うん!よかった…」
ホッと息を吐いた智くん。緊張してた?そんなに早くふたりの報告をしたいなら聞いてあげなくちゃね…そしてちゃんとおめでとうを言ってあげよう。