第13章 pray
ライブツアーも進んでいく中、智くんの様子は特に変わることはなかった。
あれからまた相手のこと誘ったのかな…なんて気にしているせいか智くんと目が合う回数が増えてる気がする。しかも目が合う度に智くんがふにゃっと笑いかけてくれて、そうすると心の中がほわんと温かくなるようになった。智くんの腕の中も温かかったなぁ…なんて思い出すとなぜか胸の奥がムズムズした。
ライブツアーの合間にも通常の仕事は勿論こなさなくちゃいけなくて…今日はニノとふたりで雑誌の取材だった。先に着いて待ってると少し後からニノがやって来た。
「おはようございます」
「おはよ、ニノ」
椅子に座るなり鞄からゲームを取り出すニノ。いつもだったら静かにしてゲームをやらせてあげるんだけど、今日は智くんのことを聞きたくて声を掛けた。
「あのさ、ニノ…ちょっといい?聞きたいことがあるんだけど」
「なんです?改まって…いいすよ?俺に答えられることならなんでも聞いてください」
「ゲームやりながらでいいよ?大したことじゃないし…」
「そうですか」
そう言うとニノはゲーム機を手に持ち視線をゲーム画面に向けた。
「智くんのことなんだけど…」
ゲームを始めたニノの手がピタッと止まり静かにゲーム機をテーブルに置くとニノは俺の方を向いてニッコリと笑った。
「大野さんがどうかしましたか?」
笑ってるんだけど、なんだか少し緊張した空気が流れたと思ったのは俺の気のせいかな?