• テキストサイズ

片恋 《気象系BL》

第12章 抱擁


「智くん、踊るんでしょ?俺少し休むから見てていい?」

「いいけど、まだ全然出来てないよ?」

「いいよ、智くんの踊りが見たいだけだから」
 
「俺の踊り?」

「そう、智くんの踊り…格好いいよね?」

「格好いいって…そんな大した踊りしてないから」

「ううん!凄いって!羽が生えてるのかと思っちゃうもん」

「は、羽⁉」

そんな風に見て貰えてることは嬉しいけど恥ずかしい。

「なんか、あんまり誉められると踊り辛くなるんだけど…」

「あ、ごめん…邪魔しちゃったね、大人しくしてるから始めて?」

ニコッと笑って翔くんは壁に寄り掛かるように座った。

考えていた踊りを実際に音に合わせて踊り始めた…修正を入れながら何度か踊り何となく形が決まった。

「出来たの?」

座ってた翔くんが立ち上がって俺のところに寄ってきた。

「うん、どう?」

「格好いい…ちょっと難しそうだけどなんとかなるかな」

「大丈夫だよ…みんないつもちゃんと踊ってくれてるじゃん…俺感心してんだよ?みんな俺の訳のわからない説明で踊ってくれるんだから」

「ははっ、確かに…みんな凄い理解力だよね?」

「うん、俺の頭の中覗かれてるのかと思っちゃうくらい」

「智くんの頭の中かぁ…覗けたらいいのに…」

「え?」

「あ、ううん…なんでもない」

小さく横に首を振る翔くんの瞳が少し悲しそうに見えた。
/ 592ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp