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片恋 《気象系BL》

第11章 One Step


電話を切るとすぐに翔くんの車が到着した。助手席の窓が開くと翔くんが顔を出した。

「おはよ、智くん」

朝から爽やかな笑顔を見せる翔くん。

「おはよ…」

「乗って?」

ドアを開けて助手席に座ると今日岡田が来ないことを伝えた。

「え?そうなの?じゃあどうする?行くの止めようか?」

翔くんがそう聞いてきたけど。岡田がくれた折角のチャンス、使わないのも勿体ない…

それに俺が決着つけないと先に進めないって…岡田はもしかして翔くんに気持ち伝えたのか?俺が伝えることによって岡田の気持ちにもケリがついて先に進める?そういうことなのか?

「智くん?止めてもいいよ?」

黙り込んだ俺の方を見て翔くんが問いかける。

「あ、ううん、折角早起きしたんだから行こう…高尾山なら岡田がいなくても登れるでしょ?」

「うん、大丈夫だけど…なんか意外だな、最初に行くって言った時も思ったけど智くん登山なんてしないと思ってた」

「たまにはね、自然に触れるのもいいじゃん…きっとリフレッシュ出来るよ?」

「ん、そうだね…じぁあ行こうか」

翔くんは車を発進させた。

翔くんとふたりだけの空間…昔から思ってたけどほんとに居心地がいいんだよな…なんの気遣いも要らないっていうか、自然のまんまの姿でいて平気な数少ない人。

ニノも気を使わない、アイツはいつもゲームをしてるからこちらから話しかける必要もない。相葉ちゃんは元気一杯でいつも色々話してくれるから聞いてるだけでいい。松潤は…朝弱いから機嫌が悪いことが多くて、敢えて声を掛けないでいいし楽と言えば楽。

翔くんは…そのどれにも当てはまらない…声を掛けなきゃとか話し聞かなきゃとかそれすらも考える必要のない人…自然に話して自然に耳を傾けて…お互いの間がわかるというか…何だろ、どう言葉に言い表していいかわからない関係…

気持ちを伝えるとか伝えないとかそんなことどうでも良かった。だって翔くんは誰のモノにもならないって心の中でそう思っていたから。
だから岡田がちょっかい出すのは気に入らなかったけど翔くんが岡田の気持ちに応えることもないと思っていた。
ただ今回は人目のない所に出掛けるって言うから岡田が強引な手に出るかもって心配になったから一緒に行くって言ったんだ。
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