第10章 always
翔くんも同じ気持ちでいてくれたんだ…辛い思いをしていたのは俺だけじゃなかった。
「翔くん、俺もずっと翔くんとふたりだけで会いたかったよ?翔くんがそう言ってくれるなら、少しだけお邪魔させて貰っていい?」
そう言うと翔くんはパッと顔をあげた。
「ほんと?いいの?無理してない?」
「無理なんかしてないよ…翔くんが呼んでくれたらいつでも会いに行くよ?」
翔くんは嬉しそうに微笑んだ。
「ありがと…」
「じゃあ行こうか…」
翔くんに手を差し出すとじっとその手を見る翔くん。
「…いいの?」
「大丈夫だよ、ライブスタッフしかいないし…見られても『嵐さんは仲が良いですね~』で終るから」
「うん」
ふたり手を繋いで歩いてく。
翔くんのマネージャーに翔くん家まで送って貰った。
「明日はライブですからね?体調管理ちゃんとしてくださいよ?」
「はい、分かってます…」
「大野さんも大丈夫ですか?」
「おう、子供じゃないんだから大丈夫だよ」
「子供じゃないから心配なんですよ…」
マネージャーがボソッとなにか言ったが聞き取れなくて…
「え?なに?」
「いいえなんでも…それでは櫻井さん明日9時にお迎えに来ますね、お疲れさまでした」
「お疲れさま」
マネージャーの車を見送り翔くんの部屋へ向かった。
翔くんの部屋は思ったよりも片付いてて
「翔くん、片付け出来るんだ…」
「ん~、リビングはなんとか…でもあそこは無理…」
そう言って指差した方を見るとダイニングテーブルの上に積み重ねられた紙の山。
「うわ、すごっ!何が置いてあるの?」
「ニュースの資料と特番の出演者の方の資料…特番が終わればもう少し片付くんだけど…」
「大変だな…」
「ん、でも遣り甲斐はあるから…」
「そっか…」
「ここは無理だからそっち座って」
翔くんがソファを指差した。
翔くんはキッチンへ入り冷蔵庫から缶ビールと軽いツマミを持って戻ってきた。
「はい、どうぞ」
「ありがと」
缶ビールを受けとりプルタブを開ける。
「お疲れ」
「お疲れさま」
ゴクゴクっと喉を鳴らしてビールを飲んだ。
「はあ~!やっぱ踊った後のビールは旨いなぁ」
「ふふっ、だね…智くん凄く嬉しそう」
「嬉しいよ…ビールは旨いし、翔くんといられるんだもん」