第10章 always
「おはよう、翔くん。来たばっかで悪いんだけど早速リハ始めていいかな?」
「おはよ松潤、遅くなってごめんな。
すぐに始めてくれていいよ」
「じゃあ行きますか…」
ステージまで向かう僅かな時間でも、翔くんと一緒に居たくてふたりで最後尾を歩いた。
肩がふれあうくらいの距離で並んで歩く…歩調を合わせてくれるのは翔くんも俺と一緒に居たいって思ってくれてるからかな…
「翔くん、大丈夫?仕事忙しそうだけど、疲れてない?」
「ん、大丈夫…ライブ中はこっち優先だから打ち合わせも抑えてあるし…今日もリハが終れば家に帰れるから」
「そっか…無理しないでね」
一瞬だけ翔くんの手を握って翔くんの方を見ると頬を紅く染め微笑む翔くん。
「うん、ありがと…」
やっぱ可愛いよなぁ…あぁ、今ふたりきりだったら…
リハは順調に進んだ…ハードスケジュールの翔くんを気遣ってみんな集中して取り組んだからだろう。
予定の時間よりも早くリハが終了した。
「それじゃ明日。東京初日よろしくお願いします」
松潤が締めの挨拶をして控え室に戻った。
「早く終わって良かったねぇ…翔ちゃん久しぶりに早く帰れるんじゃない?」
相葉ちゃんも翔くんの忙しさを心配してくれてたみたいだ。
「うん、そうだね」
笑顔で答える翔くん。
やっぱり疲れてるから、早くあがれるの嬉しいよね。
「今日はゆっくり休んで明日のライブに備えてよ」
松潤がそう言うと、ニノが小声で呟いた。
「…大人しく帰りますかねぇ…」
「え、なに?ニノ」
「いえ、なんでも…」
松潤の問いかけにニコッと笑顔で惚けるニノ。
「じゃあ、帰りますか…」
「「お疲れ~」」
「「お疲れさま~」」
挨拶をし、控え室を出て駐車場に向かう。
隣を歩く翔くんの足が止まった。
「翔くん?どうかした?」
「…智くん、家に来ない?」
「え?でも翔くん、ゆっくり休んだ方がいいでしょ?」
翔くんは俯いていて表情が見えない。
「智くんは平気なの?俺のせいだけど…全然ふたりきりで会えてないのに…」
「いや、平気じゃないよ?でもさ、仕事優先なのは当然でしょ?同じグループで仕事してんだもん、翔くんの忙しさは嫌ってほど分かるし…少しでも休ませてあげたいと思うよ」
「仕事が大変でも…ううん、大変だからこそ少しの時間でも智くんと一緒に過ごしたい…」