第10章 always
「呆れるわけないでしょ?
そんな簡単に呆れるくらいなら、とっくに翔くんのこと諦められてるよ」
「でも今回のは酷すぎるでしょ?
下手すりゃライブにまで影響するところだった…」
「呆れるどころか尊敬するよ?
ライブ中、倒れちゃうんじゃないかと思ってずっと心配してたけど
翔くんは最後までやりきったじゃん」
「…ごめん、心配掛けて…」
「ううん、謝らないでいいんだよ。
ただニノが、かなり体に負担掛かるって言ってたから…俺、知らなくて…俺にも責任あるよね…」
そう言ったら翔くんは頬をピンクに染めた。
「あ、えっと…智くんのは、大、丈夫…だった、よ」
「そうなの?なら良かった」
「うん。智くん、凄く優しくしてくれたから…」
恥ずかしそうに俯きながら話す翔くんが愛しくて、そっと抱きしめた。
「智くん?」
腕の中で顔をあげる翔くん。
「そんな顔されたらさ、やっぱり誰にも渡せないよ…」
翔くんは小さく頷いた。
「俺も、智くんじゃなきゃ駄目だった…
松潤に抱かれた時、自分の気持ち誤魔化せなかった…
智くんに最初に抱いて貰ってて、良かったと思ったよ?
じゃなきゃ、俺、今日、平静でいられなかったと思う…
松潤と付き合うって決めたくせに
松潤に体触られた時、心の中で智くんの名前呼び続けてた…」
翔くんを抱きしめる腕に力を込めた。
「ごめんね、助けてあげられなくて…」
「智くんはなにも悪くないってば…
今日ライブに出ることを認めてくれた事も
ライブ中助けてくれた事も
今こうして抱きしめてくれてる事も嬉しくて仕方ないのに…
あぁ、俺っていつも智くんに助けられてんだなぁって再認識したよ?」
「ほんとに?俺翔くんのこと助けてあげられてるの?」
「うん、助けて貰ってる…
だから松潤にもそういう存在が必要なんだと思って…」
「確かに支えは必要だよ?
俺も翔くんに助けて貰ってる
でもニノたちが言うように、甘えと支えは違う…翔くんと松潤の場合は甘えだよね?
だから今以上に成長させたいなら翔くんじゃ駄目なんだよ」