第10章 always
翔くんの体に障らないようにゆっくりと歩みを進めた。
「ごめんね、重いでしょ」
「重くないよ…俺、翔くんより力あるし」
「ん~、そこは否定出来ない…」
「ははっ、だろ?翔くんひとりくらい軽く運べるよ…
さっきだって気を失ってる翔くん運んだんだから」
「え、そうなの?ごめんね…」
「謝んなくていいよ…
俺が他の奴に翔くん触らせたくなかっただけだから」
俺の首の前でクロスされた翔くんの腕に力が入り体が密着する。
「…うん、俺も…智くんで良かった」
照れたような翔くんの声が耳元で聞こえた。
ホテルに戻り翔くんを部屋に送った。
「シャワーひとりで出来る?」
「大丈夫、それくらいは出来るよ」
「そっか、じゃあまた後で来るから」
「…うん、待ってる…」
はにかむ翔くんが可愛くて
抱きしめたい衝動に駈られたが今はさすがに不味いよな…
部屋に戻りシャワーをして
マネージャーから翔くんの薬と食事を受け取り翔くんの部屋を訪ねた。
早く食事を済ませて明日のライブに備えて休ませてあげたい。
「いらっしゃい」
翔くんが笑顔で迎え入れてくれる。
「お邪魔します。
食事と薬持ってきたから、食べたら薬飲んでね」
「ありがと、智くんも食べていくんでしょ?」
「翔くんが迷惑じゃなければ」
「迷惑な訳ないじゃん
ひとりで食べても寂しいし」
「うん、じゃ用意するね、翔くんは休んでて」
「もう大丈夫だよ」
「いいから…じゃないと俺が来た意味ないでしょ?」
「…意味あるよ…智くんが来てくれただけで十分意味がある…」
泣き出しそうな瞳で俺を見詰める翔くん…
「翔くん?どうした?」
「もう駄目かと思った…」
「何が駄目?」
「…智くんに呆れられたかと思ったから…
松潤のこと優先させて、智くんから離れるって自分で決めたのに
こんなことになって…」
俯く翔くんの瞳から涙が溢れた…