第10章 always
翔くんは開演の1時間前に会場入りした。
「遅くなってごめんね」
そう言って翔くんは微笑むけど顔色はまだ悪くて…
「翔ちゃん、ほんとに大丈夫なの?」
「大丈夫だって」
「翔くん。無理しないでって言っても無理なんだろうけど、キツかったら言ってよ?
みんなでカバーするから」
「うん、ありがと…」
大丈夫なわけない。
体だって、心だって傷ついてるんだから…
それでもステージに立とうとする翔くんの気持ちが分かるから、出演を許可した。
じゃないと、益々翔くんの心が傷付くと思ったから…
何よりも大切にしているライブを、個人の理由で出られないなんて、翔くんの中ではあってはならない事なんだ。
「翔さん、ひとりで頑張らないでくださいね?
いくらでも助けますから」
「頼りにしてるよ、ニノ」
翔くんのメイクと着替えも終わり待機をしていると
スタッフとの最終打ち合わせを終えた松潤が控え室に戻ってきた。
翔くんを見つけると、気まずそうに近づいて来る。
「…ごめん、翔くん…
こんなに傷つけるつもりなかった…
こんなことになるなんて…
ただリーダーに先越されたのが悔しくて…
俺だって翔くんのこと好きなのに…なんで?って思ったら、自分で自分を止められなくて…」
「もういいから。反省の言葉はもういらない。反省するなら態度で示せ。
俺に、最高にいいライブ見せてみろ」
松潤は力強く頷いた。
「そんじゃ行きますか!」
相葉ちゃんが元気な声をあげた。
そして、俺たちはステージに向かった。