第10章 always
ニノはベッド横に膝を付くと、布団から出てる翔くんの手を握った。
そして見つけた…翔くんの手首に、くっきりとついた赤紫の跡…
あいつ…なんて事を…
「クックッ…」
背後から聞こえる笑い声…
瞬間、頭に血が昇り、松潤の胸ぐらを掴みあげた。
「お前、自分がなにやったか分かってんのかっ⁈」
松潤は俺を冷めた目で見下ろす。
「だから、リーダーと同じことしただけだろ?
なんでリーダーは良くて俺は駄目なんだよ…」
本気で悪気が無いように話す松潤を見て、言葉が出なかった…
俺がこいつを追い詰めたのか?
俺がこいつを嫉妬で狂わせた?
「智くん、止めて…俺は大丈夫だから…」
翔くんの弱々しい声が聞こえ、俺は掴んでいた手を離した。
どうすればいい?
今日もライブがあるんだ…こんな状態で出来るのか?
それまで黙っていた相葉ちゃんが、松潤の前に立ち思いっきり頬を殴った。
「っいってぇ…何すんだよ!」
相葉ちゃんを睨む松潤。
いつもだったらビビるのに、相葉ちゃんは松潤を睨み返した。
「殴ったんだよ。そんなことも分からないくらい馬鹿になったの?」
「なんだよ馬鹿って⁉」
「馬鹿だから馬鹿って言ってんだよ。
なぁんにも考えられない大馬鹿!
なにひとりで傷ついた顔してんの?
傷ついたのは松潤じゃなく、他の人たちだよ?
松潤の我儘のせいで、周りの皆が傷付いたのっ!」
「なんで俺が我儘なんだよ。
俺には翔くんだけで良かったのに…
リーダーは何でも持ってるのに…
なのに、リーダーは翔くんを奪った!」
ニノが悲しそうな松潤を見詰めた。
「…潤くん。翔さんは、あなたを選んでたんですよ?
翔さんも大野さんも、嵐にはあなたの力が必要だと思った…
だから翔さんは、あなたの元へ行くと決めたし、大野さんもそれを認めた」
「じゃあ、なんで翔くんはリーダーに抱かれたんだよ…」
「まだ翔さんは、潤くんに返事してなかったんですよね?
だったらまだ翔さんはフリーだ…
潤くんのモノじゃない。
あなたがとやかく言う権利はまだ無いんですよ。
あなただって分かってたんでしょ?
このおふたりが想い合ってる事は…
すでに付き合ってる可能性だってある状況で、返事を貰ってないあなたが、こんな行動に出るのは間違ってる」