第10章 always
〈智サイド〉
翔くんの様子が気になり、集合時間より早く部屋を出た。
フロアーにはまだ誰の姿もなく、暫くするとニノが部屋から出てきた。
「あれ?大野さん、随分早いんですね?」
「ん、あ~…まあね…」
歯切れの悪い返事をする俺をじっと見る。
「何かありましたね?」
図星を指され思わず視線を逸らした。
「今更隠し事は無しですよ?
何があったんですか?」
ニノは俺から視線を外さない…
あぁ、こうなったニノからは逃げられないんだよなぁ。
俺は観念して、昨日のことを話し出した。
「えっ?翔さんが潤くんと?」
「あぁ…」
「大野さん、それでいいんですか?」
「翔くんが嵐の為に決めたんだ…
リーダーの俺が反対する訳いかないだろ…」
「でもそれじゃ、ふたりの気持ちは…」
「いいんだよ…俺も翔くんも納得したんだ」
ニノは俯いてしまった…
「…分かりました…
おふたりが決めたことですもんね
私が口を挟む権利はない…」
「いや、悪いなニノ。お前にも辛い思いさせる…」
「いいえ…私は大丈夫ですよ。最初からわかってた事ですし…
それは分かりましたけど、早く出てきた理由は?」
やっぱこいつは誤魔化せない…
「あ~、えっと…」
「話の他に何か言えないようなことしたんですか?」
ニノの言葉で、夕べの翔くんを思い出し顔が熱くなった。
「ほんと分かりやすいですね、大野さん…
今時、高校生だってそんな反応見せませんよ?
それで翔さんの様子が気になって早く来たと…」
「…寝るときは一緒に居たのに
朝になったら居なくなってて…」
「まぁ、聞くところによると、かなりの負担が掛かると聞きますからね…
翔さん起きられるといいですけど」
「え?そうなのか?」
「えっ?知らないでやっちゃったんですか?」
「う、ん…だって、突然言われたし…」
「誘ったのは翔さんなんですか?」
「最初で最後だって…」
「なるほどね…まぁ、翔さんの気持ちは分かりますけど…」