第10章 always
手を伸ばし翔くんの肌に触れた…
ただそれだけなのに電気が走ったような衝撃。
翔くんも『あっ、』っと声を漏らし体をしならせた…
お互いこんなに求め合ってるのに、なんで…
翔くんの手が俺の頬に触れた…
「…ごめんね、智くん。泣かないで…」
翔くんの手が俺の涙で濡れてた。
そして翔くんの目からも涙が溢れた。
翔くんの体を力を込めてぎゅっと抱きしめる。
「ごめん…俺が余計なこと考えないでって言ったのに…」
「ううん…たぶん今、俺、智くんと同じこと考えてた
ごめんね。でも…だからこそ智くんに抱いて貰いたい。
お互い幸せな記憶を心と体に残したい…」
体を起こし翔くんを見つめた
「うん、そうだね…」
微笑むと、翔くんも微笑んでくれる。
シャツを脱ぎ、翔くんにゆっくりと覆い被さり
もう一度口づけた。
翔くんの腕が俺の背中に回る…
肌と肌がピタリと触れあう。
それだけで鼓動が大きくなり、ふたりの心音も重なった…
「はぁ…ん…」
翔くんの首筋から順に唇を下ろしていくだけで、
翔くんの口から吐息が漏れる…
その吐息を奪うように口づければ、喘ぎ声に変わる。
「はっ、あぁ、ん…」
艶を放ち始めた翔くんに煽られつつ、流行る気持ちを必死に押さえ、ゆっくりと翔くんに触れていく…
翔くんに忘れられない想い出を残すために…
宝物を扱うように大切に…大切に…
二度と訪れないこの幸せな時間を惜しみながら…
幸せな時間を過ごした俺たちは、一緒に眠りに付いた。
なのに、翌朝目覚めた時、既にベッドの上に翔くんの姿はなかった…