第10章 always
『わかった』と言った言葉通り、ライブ中の翔くんは完璧だった。
リハ中に見せてた悩んでる表情なんて、微塵も見せることなく観客を盛り上げ、自らも楽しんでた。
やっぱりライブはこうでなくちゃ。
それでも少し心配だから、翔くんの近くにいるときはそっと触れたり、遠くにいるときはアイコンタクトを取って微笑んでみせた。
そんな些細なやり取りも、松潤は見逃さなかった…まさか、あいつを追い込むことになろうとは…
ライブが無事終わり、松潤以外のメンバーがホテルに戻った。
部屋に入る前に翔くんが「後で部屋に行っていい?」
って聞いてきたから
「もちろん。待ってるから、いつでもおいで」
って微笑むと、翔くんも微笑み返してくれた。
シャワーを浴びて暫くすると翔くんが部屋に訪ねて来た。
「いらっしゃい…」
「…お邪魔します」
「翔くん、何飲む?」
「智くんと同じものでいいよ?」
「じゃあ、とりあえずビールだな」
冷蔵庫から缶ビールを2本取り出し、1本を翔くんに渡した。
「座って?」
翔くんをソファに座らせ、その隣に座る。
プルタブを開け、缶ビールを翔くんに向ける。
「お疲れ」
「お疲れさま」
グビグビっとビールを煽り、『ハァー』っと息を吐いた。
「楽しかったね、ライブ」
「うん、楽しかった…智くんのお陰だよ」
嬉しそうに微笑む翔くん。
「俺、何もしてないよ」
「ううん…ライブ中、ずっと気に掛けてくれてたでしょ?
俺は、いつも智くんに助けられてるんだよね…」
翔くんはそこで言葉を切って息を吐いた。
顔をあげ俺の目をしっかりと見詰めると…
「智くん…俺、松潤と付き合おうと思う」
力強い言葉で俺に告げた。