第1章 Two
衣装部屋に行くと、やはり渡されたのは赤と青のタンクトップ。
別にいいんだけどねぇ、さっきの翔くんと松潤見た後だと、少し凹む。
いつもなら、大宮の衣装だって気にならないのに…
着替えを済ませ、スタジオに行くとまだ、二人は撮影中。
二人ともかっこいいなぁ、様になってるっていうの?
俺と翔くんじゃ、ああはならないよなぁ。
なんか、落ち込んできた。
そんな俺に気がついたのか、ニノが声を掛けてきた。
「どうしたんです?」
なんで、こいつはいつも鋭いんだろう?
俺が翔くんを好きだって気づいたのも、こいつがきっかけだった。
『そんなに見てて飽きませんか?』
最初、何を言われてるのか解らなかった。全く自覚がなかったから。
『あなた、ずっと翔さんのこと見てますよ?』
言われるまで気がつかなかった。常に翔くんを目で追ってる自分に。
翔くんが笑ってると俺も嬉しいし、翔くんが疲れてると何かしてあげたくなる。
他の3人に対してもその気持ちはもちろんある。
名前だけのリーダーだとしてもメンバーのことは気に掛けてるつもりだ。
ただ、翔くんの笑顔が他の誰かに向けられると胸が苦しくなる。
誰かに触れられてるとその場から連れ去りたくなる。
なぜそんな風に思うのかニノに言われるまで深く考えたこともなかった。
翔くんは昔から自然に側にいた。
しゃべりの苦手な俺は言葉が足りなくて、そんな時は必ず翔くんがフォローしてくれた。
驚くほど俺の言いたいことを理解してくれてるんだ。
翔くんが近くにいてフォローしてくれることが当たり前過ぎて、自分にとって翔くんがどういう存在かなんて考えたこともなかった。