第10章 always
〈潤サイド〉
ライブツアーが始まった。
あれ以降、リーダーから何も言ってくることはなかった。
たまにニノが何か言いたげな目で俺を見てるけど、実際何か言ってくるようなことはなかった。
たぶん翔くんが、メンバーに話してくれたんだよね?
じゃなきゃ、皆がここまで大人しくしてるはずないし。
ツアーの方は順調に進んでるし、ライブも好評だ。
何よりも、今回のライブは俺と翔くんの絡みが多いと、ファンから喜びの悲鳴も聞こえる。
もちろん、絡みやすい構成にしてあるし、トークの時なんかは、俺から翔くんに近づいて行ってたりする。
このまま不仲説も一蹴してやる。
まぁ元々は、俺が翔くんと距離を取ったのが原因なんだけどね。
さぁて、そろそろ最終段階に入るかな…
このツアーが終わるまでに、翔くんを譲って貰うからね?リーダー。
あんたも翔くんも、嵐の為にお互いの事を諦めてくれるでしょ?
ふたりが必死に守ってきた『嵐』なんだから、ふたりの為に壊すことなんて出来ないよね。
なんて狡い奴なんだろうって自分でも思うよ…
でも、あの時分かったんだ。やっぱり俺には翔くんがいなくちゃ駄目だって。
リーダーと抱き合ってる翔くんを見ただけで、俺の頭は真っ白になった…
そして、その後湧いてきた感情は、リーダーに対しての憎しみだった。
なんであんたは意図も簡単に、なんでも手に入れるんだ?
歌も踊りも絵を描く才能だって、あんたは天から与えられてるのに。俺から翔くんも奪うのか?
そんなの不公平だろ…あんたから才能は奪えない。だから、翔くんは俺が貰うよ。