第10章 always
ふたりが抱き合う姿を見てから俺は、何をする気も起きなくて、今日もライブの打ち合わせなのに集合時間ギリギリに行った。
「……おはよ」
「おはようございます。どうしたんですか?潤くん」
「…なにが?」
「なかなか来ないから、今、電話しようかって言ってたんですよ?」
「集合時間には間に合ったんだから、何も問題ないだろ…」
「そうですけど…」
「おはよ、松潤。
何があったか知らないけど、その言い方はないだろ?
ニノだって心配して言ってるんだよ?スタッフさんたちだって聞きたいことあって、待ってるんだから」
「俺がいなかったら誰か代わりに聞いときゃいいじゃん…俺なんかいなくても、なんとかなるだろ?」
翔くんが驚いた顔をした。
「本気で言ってんのか?お前…」
「本気だよ…」
「なんで…この前いいライブ作りたいって言ってただろ?」
「急に気持ちが変わったの…もう頑張る意味なくなったから」
「松潤、いい加減にしろよ?
何に対してイライラしてるのか知らないけど、お前もプロとして仕事してんだろ?
中途半端に投げ出すことなんてしていい訳ないだろ」
普段余り口出ししないリーダーだけど、ここぞって所はこうやって締めるんだよな…そういうところ尊敬するよ。
だけどさ。それって、今あんたが満たされてる状態だからじゃないの?
あんたの大事なものが無くなった時、同じ事言えんのかな?
試してみたいな…あんたがどこまでプロとして仕事できんのか…
「分かったよ…ちゃんとやればいいんだろ?
その代わり、リーダーの大切な物俺に頂戴?だったら頑張れるから」
「俺の大切な物?」
「そう…プロなんでしょ?仕事の為に、大切な物手離すこと出来るんじゃないの?」
「何だよ?お前が欲しい物って…」
「今は言わない…その内分かるよ
その時、リーダーはどうするんだろうね?
仕事の為に俺にくれるのかな?それとも自分の欲求を優先させるのかな?
楽しみにしてるよ…」