第10章 always
〈智サイド〉
松潤の様子がおかしい…
今まであんなに仕事に対してひたむきに打ち込んでいた奴が、まるで人が変わったかの様に投げやりになった。
何があった?
何がお前をそんなに苛立たせてるんだ?
しかも俺の大切な物をよこせなんて…松潤が欲しがるような物なんて持ってないのに。
それどころか、あいつなら欲しい物なんてなんでも手に入れられるんじゃないか?
その後の松潤を見てると、いつものように仕事をこなしてる。
ただあの時だけ虫の居所が悪かったのか?
だったらいいんだけど…
他のメンバーも気にしているようで…
「大野さん、どう思います?さっきの潤くん」
ニノが不安そうな顔をしていた。
「ん~、不機嫌の原因が一時の物だといいんだけど…
あんな風に仕事に支障をきたしそうな発言は、今までしたことなかったよな…」
「そうなんです…私もそこが気になってて
あんなに一所懸命やって来たライブの仕事を投げ出そうとするなんて…
何かよっぽどな事があったのかと…」
「あの様子だと、本人に聞いても教えてくれなそうだよな…」
「たぶん…大野さんの大切な物を欲しがるのも分かりませんし…
大野さん、潤くんが欲しがるような凄いもの持ってましたっけ?」
「持ってないよ…俺、元々物に執着しないし」
「ですよね…なんだか嫌な予感がします」
ニノが難しい顔をした。
「怖いこと言うなよ」
「すみません…ライブ前ですし何も起こらないことを願いましょ」
「そうだな」