第10章 always
ライブ用の振り付けが始まった。
アルバム曲から何曲か振りを入れたりする。俺やニノ、松潤はそうでもないけど、毎年翔くんと相葉ちゃんが苦戦してるんだ。
あのふたりは振り覚えるのあんまり得意じゃないから。
今日はニノと相葉ちゃんが雑誌の取材があるからって先にあがったんだけど、翔くんが自主練をして帰るって言うから付き合うことにした。
少しでも一緒にいたいだけなんだけどね。
必死に練習してる翔くんを見てると可愛くて仕方ない…
何度も同じところでつまずいて『あぁー!』って叫び声をあげる。
「大丈夫?翔くん」
「うん。ごめんね、付き合って貰ってるのに全然入らない…」
「ふふっ、いくらでも付き合うからさ、そんな焦らなくていいよ?
気持ちが焦るから覚えられないのかも…少し休憩しよ?」
「…うん」
壁に寄りかかってふたりで並んで座った。
「ほんとごめんね…智くん帰っても大丈夫だよ?
俺ひとりでやるから」
翔くんが俺の方を向いて言う。
「そんな寂しいこと言わないでよ…折角、翔くんと二人きりでいられるのに」
そう言って微笑むと、翔くんは一瞬困ったような顔をして俯いた。
「…翔くん、俺がまだ翔くんのこと好きって言ったら迷惑かな?」
翔くんは立てた膝の上に顔を伏せ、完全に表情を隠してしまった。
「俺馬鹿だからさ。翔くんがなに考えてるか分からないよ…
迷惑ならハッキリ言って?嫌いなら嫌いって言ってくれていいよ?」
暫くの間微動だにしなかった翔くんが、ゆっくりと首を横に振った…
「…嫌いじゃないよ…
逆だから…俺が智くんに迷惑掛けちゃうから…」
「なんで翔くんが迷惑かけるの?」
「いつになるか分からない…だからもう待たなくていいよ…」