第9章 言葉より大切なもの
「ん…」
体に重みを感じ目が覚めた…
身動きがとれず、視線だけ胸元に送る。
俺の胸の上に頭を乗せ、あどけない寝顔を見せ寝ている翔くん…
それにしても夕べの翔くん、可愛い上に綺麗だったなぁ。
いつも可愛いよ?でもさ、『さと』なんて呼ばれたら、心臓鷲掴みだから…
しかもあんな色っぽくなるなんて、嬉しい誤算。
まだまだ俺の知らない翔くんがいるんだな…
翔くんのふわふわの髪を撫でた。
「う、ん…」
翔くんの睫毛が震え、ゆっくりと瞼が動く…
瞼が開くと、さっきまでのあどけない顔から、一気に色気を纏った表情になった。
「おはよ」
声を掛けると視線を俺に向けた。
「あ、ごめん!重かったよね」
目が合うと、慌てて体を起こした翔くんはそのまま俺の横に倒れ込んだ。
「翔くん?!」
体を起こして翔くんを見た。
「ん、いったぁい…」
「大丈夫?」
「ん〜…なんとか…」
「ごめん、無理しすぎたよね?」
そう言ったら、顔を紅く染める翔くん。
「あ、えと…」
頬を撫でるとピクッと震えた…
「翔くんがあんまり綺麗に乱れてくれるからさ、止まれなくなっちゃった、ごめんね」
「なっ…!」
顔を真っ赤に染め、言葉を詰まらせる翔くんが可愛いらしくて額にキスをした。
昨日俺を求めた人と同じ人に見えないな…
「今日は『子供じゃない』って言わないんだ」
ふふっ、て笑うと
「智くん、意地悪…」
翔くんは拗ねたように言う。
「ごめんね、だって翔くん可愛いいんだもん」
そう言うと翔くんは起き上がり俺にキスしてきた。
「…子供じゃないよ」
「うん、分かってるよ?
子供はあんなエッチな躰してないもん」
「…やっぱり意地悪」
翔くんは再び顔を紅く染めた…