第9章 言葉より大切なもの

〈智サイド〉

俺が体を撫でるたびにビクビクと体を震わせる翔くん…敏感なんだね。

「あんっ、あっ、ふ…」

頬を紅潮させ、可愛い喘ぎ声を漏らす翔くん。

もっと気持ちよくなって貰いたくて、執拗に愛撫を続けていると
翔くんは背中を反らせ、眉間に皺を寄せる。

「やだ」って言って、涙を流した翔くん…

やっぱり怖いよね…

そっと抱きしめてあげると、昂りすぎてた感情が落ち着いたみたいで『続けて』って言ってきた。

翔くんを怖がらせないように、ゆっくりと充分に時間をかけキスをする。

暫くすると、喘ぎ声を漏らしながら翔くんがしがみついてきた…

「はぁ、んっ…さと、し、くん…触って…よ…」

少し体を起こし、キスを続けながら脇腹を撫で上げたら、思いっきり背中をしならせた。

「あっ、ん…、あぁ…」

翔くんの表情が恍惚としてきて、俺はその色香に誘われるように、翔くんの体に唇を這わせ優しく愛撫する。

「あっ…い、…さ、と…、もっ、と…ぁふっ…ん…」

身を捩り、悶える翔くん…

正直、想像したことがない訳じゃない…翔くんの乱れる姿。

でも実際の翔くんは、俺の想像なんて軽く飛び越えた…

蕩けきった表情で俺を見詰め、甘い声で俺を呼ぶ…

「さと…はや、く…もう、おかし、く…なりそ…」

そんな姿でそんな事言われたら俺の方がおかしくなる…

「翔くん…すっごい綺麗だよ…でももっと綺麗な翔くんが見たいな…」

そう囁くと、甘い吐息を吐き、待ちきれないとばかりに必死に両腕を伸ばす翔くん…

そんな翔くんが愛しくて、俺は誘われるがまま身を沈めていった…