第9章 言葉より大切なもの
智くんがキスをしながら、優しく体を撫で回す…
それだけで全身が熱を持つ。
息があがって苦しくて、智くんに抱きついた。
「んっ、ふっ…」
「翔くん…服、脱いじゃおうか…」
優しい笑顔を見せる智くん…
「ん…智くんも脱いでよ…」
俺の服を脱がせてくれて、自分の服も素早く脱ぎ捨てた智くんの姿にドキッとした。
そのまま俺に覆い被さってきて、首もとにキスをする…
「っん…」
身体中を撫でながらキスを落としていく…
体を触られてるだけなのに、なんでこんなにビクビク反応しちゃうんだろ…
気持ちいいんだよ?
気持ちいいんだけど、続けられる愛撫にゾクゾクは止まらなくて…
初めて経験するこの感覚を、どうしたらいいのか分からなくて逃げたくなった。
「さと、しくん…もう、やぁ…」
智くんが俺の顔を見た…
「いいの?今止めたら反って苦しいよ?」
「…だっ、て…も、わけ、わかんな…」
自然と涙が溢れてきて…
智くんが唇で涙を受け止めてくれる。
「そっか…怖いよね?」
怖い?この先、自分がどうなるのか知るのが怖いから逃げたいの?
智くんがそっと抱きしめてくれた…
素肌の智くんを、体全体で受け止めると、智くんの心臓の鼓動が伝わってきて温かさを感じ、ホッとした。
ひとつ大きく呼吸をする…
「…智くん、やっぱり続けて…」
智くんが心配そうに俺を見た。
「大丈夫?無理してない?」
「ん、大丈夫…智くんとだったら…」
そう…智くんとだったら何でも乗り越えて来たんだ…
何も怖がる事なんてない…
智くんが唇にチュッとキスを落とし、頭を撫で微笑んでくれた。
「大切にするからね…」
うん、分かってるよ…
今までだって、ずっと大切にされてきた…
だからどんな俺でも、全て受け止めてくれるよね?