第9章 言葉より大切なもの
〈翔サイド〉
いつまでも触れあっていたいのに「もう休もう」なんて言う智くん。
ずっとこうしていたいと思うのは俺だけ?
ついさっき『愛してる』って言ってくれたのに、そんな早く切り替え出来ちゃうんだ…
少し寂しくなって智くんを見たら、一緒に寝ようって言ってくれた。
急いでお風呂に入って、智くんと一緒にベッドに潜り込む。
額にキスをしてくれたけど、あんなに激しいキスをした後じゃ満足出来ないよ…
だから智くんを引き寄せて、自分からキスしてやった。
そしたら智くんがまた甘いキスをしてくれたんだけど急に止めたんだ…
なんで?『もう寝よ?』なんて言うけど、寝られないよ…
何度もされた智くんのキスのせいで、体の奥の疼きが治まらない…
「なんとかしてよ」って智くんに言ったら、驚いた顔をされた。
こんな事言う俺は嫌?軽蔑する?
だってしょうがないじゃん…こんな体にしたのは智くんだよ。
智くんのキスが気持ち良すぎるのがいけないんだ…
そう思いながら智くんを見詰めていると、ふっと表情を綻ばせた。
「なんとかしていいの?その疼き鎮める方法はひとつしかないよ?」
智くんの手が俺の首から鎖骨にかけて撫で下ろした…
それだけでゾクゾクっとした快感が背中を走る。
「…いいよ、このままじゃ眠れない…」
智くんはニコッと笑うと俺の耳元に顔を寄せ
「…俺も」
って、囁いた…その艶を含んだ声がまた体の奥にズクンと響く…
そのまま首筋に軽く吸い付くようにキスをされた。
「あ、んっ」
それだけで感じてしまう俺は、やっぱりおかしくなってしまったんだろうか…
智くんの手が服の裾から入り込み、直接体に触れるとそれだけで体がピクンと小さく跳ねた…