第9章 言葉より大切なもの
お風呂からあがってきた翔くんと一緒にベッドに潜り込み、翔くんの額にチュッとキスをひとつ落とした。
翔くんの顔を見ると、不満げな表情をしていて
「翔くん?」
「…子供じゃないよ」
翔くんの腕が伸びてきて、首に巻き付き引き寄せられ唇が重なる…
離れると頬を紅くして目を伏せる翔くん…
その色っぽさに誘われ、俺からまた翔くんにキスをした。
ついつい深くなってしまったキス…
「ふっ、んっ…はぁ、」
キスの合間に漏れる翔くんの艶かしい声に煽られそうになる…
これ以上はヤバいと無理矢理離れた。
「翔くん今日は終わりね、もう寝よう」
本当は布団だって別にしたいくらいだったのに…
翔くんが寂しそうな顔をするから、可愛くてつい一緒に寝ようなんて言っちゃったけど
こんな密着した状態で一晩過ごさなくちゃいけないんだから、本来なら俺の理性を総動員させたって足りないくらいだ。
翔くんを怖がらせたくない一心で踏みとどまっているのに…
その思いを知ってか知らずか、キスを仕掛けてくる翔くん。
この無邪気さは子供以上に厄介だな。
そう思いながら翔くんの髪を撫でていたら
「…やだ」
「え?」
「まだ寝ない」
「翔くん…」
「もっと智くんに触れていたい」
「抱いて寝てあげるから、ね?もう寝よ?」
ほんとに勘弁してくれ…
こんな可愛い我が儘嬉しいよ?
でもそれって、今言われたら何の罰だよってレベルじゃん。
「…やだ、もっと触れてよ」
翔くんの潤んだ瞳が何かを訴えてくる。
「翔くん?」
「…智くんが、あんなキス何度もするから悪いんだ…」
泣きそうな顔で俺を見る…
「なに?どうしたの?」
「…俺の体、おかしくなった…
智くんがキスしてからずっと体の奥が疼いてる…
智くん、なんとかしてよ…」