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片恋 《気象系BL》

第9章 言葉より大切なもの


〈智サイド〉

翔くんが『ごめん、余計なこと考えさせた』って謝る…

そんなことどうでもいいのに…

一生手に入らないと思っていた翔くんが、今俺の腕の中にいる…

それだけで充分なのに
更に『こんな気持ち初めてで』なんて、可愛い事を言ってくれた。

思わず抱きしめる腕に力が入る。

「翔くん、もう謝らないでね?
俺、今、凄く幸せだから…
これからは、翔くんの事を遠慮なく想っていられるんだ…
俺の事を好きって言ってくれるなら、俺の為に笑って」

「…うん。ありがと、智くん」

そう言って見せてくれた翔くんの笑顔は、花が咲いたように鮮やかだった。

翔くんが俺の肩に頭を寄りかからせ、目を閉じた。

暫くそのままでいたら、翔くんの『ふふっ』っていう笑い声が聞こえてきた。

「どうしたの?」

「なんか凄い不思議…今、俺の心臓すっごくうるさいのに、気持ちはすっごく落ち着いてて、安心する…
今日一日で、初めての気持ちいっぱい経験したなぁ」

翔くんが嬉しそうに微笑んだ…

「それって全部俺のせい?」

「…そうだよ?全部智くんがくれた…
こんな幸せな気持ちがあることも、智くんが教えてくれたんだよ」

「そっか、嬉しいな…
翔くんの事、俺が幸せにしてるんだ」

「うん、だから俺も智くんの事を幸せにしたい…
いつも俺ばっかり貰ってたよね?」

「俺も翔くんから貰ってたよ
それに俺はもう幸せだよ?
翔くんが俺を好きだと言って、腕の中にいてくれる
絶対叶わないと思った願いが叶ったんだ…
これ以上の幸せはないよ」
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