第2章 Kiss からはじめよう
「確かにそうだね」
「智くんも余裕なかった?」
「全然なかったよ
今、周りが見えるようになったのは年取ったせいかな?」
「おじさん発言やめてよ
智くんと俺1歳しか変わらないのに俺もおじさんみたいじゃん」
「あ~、ごめん
そんなつもりじゃなかったんだけど…」
少し笑う智くんの顔は寂しげだった。
「なんかあったの?」
「なんもないよ
…ただ最近夜一人でいると寂しくなるんだよね~」
「なんで?」
「わかんね
だから年取ったのかなぁって…」
「智くんって一人でいるの大丈夫な人かと思ってた」
「自分でもそう思ってたよ
でもさ一人でいる時にいつも同じ人のこと考えてて
最初はさ、その人の面白エピソード思い出して笑ってたの
そのうちその人に会いたくなって…
会いたいのに会えないから寂しいのかな…」
「その人のこと好きなの?」
「…そうだね」
微笑む智くんはとても優しい顔をしてた。
ちょっとだけ胸がチクッとした。
智くんに好きな人が…
「で、その人には告白とかしないの?
付き合って貰えれば寂しくなくなるじゃん」
「なかなかね?
頑張ってるつもりなんだけど」
「智くんなら大丈夫でしょ?」